マッドハッターの保存の壺ブログ
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實吉達郎著「西遊記動物園」のこと02猪八戒はブタなのかイノシシなのか?
以前書いた實吉達郎著「西遊記動物園」のこと01の続き。
例によって内容の要約、紹介に若干感想を加えて^^

まず、天蓬元帥猪剛鬣・悟能八戒…はブタなのかイノシシなのか?

猪八戒は「猪」という名を持ちながらイノシシではなくブタなのか、という点に関しては以下のように説明されていた。

中国で猪という字は必ずしもイノシシではなく、ブタを表すこともあるらしい(その逆はない)
また、八戒は天界からブタの胎内に落とされた、と自ら語っているので人とブタのとハーフであると考えられる。
なので八戒の図案がイノシシのように鼻が長くとも、八戒はイノシシではなく、ブタの妖怪と考えるのが正しいようだ(イノシシのように鼻の長いブタが中国には多いのだそうな)
日本ではブタよりもイノシシの方がなじみがあるので、また剛鬣悟能八戒とされるところから、鬣(たてがみ)があるイノシシとされた例もあったようである。
日本で飼育されている豚はヨーロッパ産で鬣はないからでもあろう、とある。
この書き方からすると中国産のブタには鬣があるのかな?

2014.04.01追記。

【図鑑】世界のブタの種類と画像一覧さんより梅山豚(メイシャントン) ←画像有り。

猪八戒のモデルともなったと言われるブタ。
たしかに鼻が長いような…

ブタというのは中国においては古くから運動させる必要がない(ずぼらである)、多産(淫乱である)、何でも食べ、すぐに太る(貪欲である)…事から侮蔑の対象であったらしい。
まぁ、日本でも似たようなイメージはある。
が、家畜の歴史から考えると、人間が自分の都合でそのように品種改良したのだ、と作者はブタを擁護している。
確かにそうである。
この人間にとってはあまりに都合のよい、凡庸で身近な存在であるブタが、神格化、あるいは妖怪化されるのにはいくつか理由が考えられる。
一つはブタの知能が存外高いこと。
また狼などに襲われた時の防御、攻撃が巧みなこと。
もう一つの理由として考えられるのは、ブタというのは時折先祖返り的に牛と同じぐらいな大きさまでに成長することがあるらしい。
人間自らが強いた特徴とそれに付随するイメージと異なるブタを見た時、人間はブタを怪物と、あるいは神として見るのかも知れない、と著者は語っている。
なるほどな~。

ブタの行動習性を西遊記が正しく語っている例をいくつか挙げられている。
一つはブタは蛇をなぶり殺す、という点。
西遊記中でウワバミの妖怪を倒した際、既に事切れているヘビ妖怪を八戒が熊手で打ちのめすシーンがあるようだ(覚えていない/汗)
何故そんな事をするのか問う悟空に八戒は「ブタというのはヘビをなぶり殺すものだ」と答える。
実際ブタは雑食性でヘビなどを食べることがあるらしいが、毒蛇などはその毒からの危険もあり食らいつきながらも踏みつぶし息の根を止める、という習性があるようだ。
厚い脂肪で毒は殆どの場合拡散されてしまうらしいが、口内などを咬まれると流石に危険だということのようだ、と著者は解説している。
もう一つは泳ぎが得意なこと。
猪八戒は元天蓬元帥だけあって泳ぎが達者。
実際にブタは泳ぎが得意なのだそうだ。
うちの地元近くでもブタではないがイノシシが島渡りをする、という話が現在でもある。
おそらくエサを求めて海を渡るのだろう。

沙悟浄も勿論泳ぎは得意である。
西遊記では最初の遭遇で沙悟浄と猪八戒が水中戦で互角の戦いをしてみせる。
何故か悟空は水中は苦手として描写されている。
実際の猿は泳ぎが苦手というわけでもないようだが。
このあたりはキャラクターを立たせるための演出だろうか。

敦煌で発見された宋代初期(10世紀後半)製作と推定される「降魔図」には八戒そっくりな豚面の魔物が描かれているのだそうだ。
もしこれが本当に宋代に描かれた物なら西遊記(16世紀成立とされるのが定説)よりも500年以上前に描かれたものとなる!
西遊記以前に猪八戒のモデルとなった魔物が存在したのかも知れない…しかも西域に。

というわけで次回はこのレビューを書くきっかけとなった沙悟浄で完結…の予定^^



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