マッドハッターの保存の壺ブログ
ゲーム、小説、オカルトニュースなど気になったことを、日記として徒然に書いていく予定です。
ロジャー・ゼラズニイ「虚ろなる十月の夜に」の紹介感想
「虚ろなる十月の夜に」(ロジャー・ゼラズニイ著、竹書房)の紹介感想。
例によって冒頭のストーリー。

19世紀末、ロンドン郊外の村。
その年は大いなるゲームが行われる年に当たっていた。
ハロウィンの夜が満月に当たる年、ゲームのプレイヤー達は一つの場所に集結する。
彼らは10月になると同時に必要な情報と素材を集め、ゲームの準備にいそしむ。
誰が味方か敵かは皆目見当がつかない。
プレイヤー達はほぼ例外なく動物の使い魔(コンパニオン)を従えていた。
使い魔のスナッフは大型犬。
捕らえた魔物が逃亡しないように巡回し、村を徘徊して他のプレイヤーを監視、情報収集するのが役目だ。
スナッフの相棒はただ「ジャック」とのみ呼ばれるベテランプレイヤー。
ジャックのもう一つの相棒はポケットに隠し持ったナイフだった。

スナッフは他のプレイヤーの使い魔、猫のグレイモーク、蛇のクィックライム、フクロウのナイトウィンドらと情報交換しつつ他のプレイヤーの住処を特定していく。
ゲームの場所となるエネルギーの中心地を探るために。
そんな折、プレイヤーの一人「伯爵」が滅ぼされているのをスナッフは発見する。


とても読後感の良い作品だった。
まず使い魔含めて…というか使い魔の方がむしろ主役だが(笑)、キャラクターがいずれも魅力的だ。
ネタバレ覚悟で書いてしまうが、主要登場人物のほぼ半数は他作品に登場するキャラクターや実在人物なのである。
しかも超有名な(汗)。
「ジャック」はアレだし、↑に書いた「伯爵」とは無論の事アレである。
他の登場人物もいずれ劣らぬ大物ぞろいで、彼らがどんな活躍をしてくれるのだろうか?とワクワクしながら読んでいた。
が、やや期待に反してアクションシーンやバイオレンスシーンはほぼ皆無。
窮地に陥ったスナッフをジャックが救う場面があるが、見事に活劇場面はカットされていた。
これはむしろ上品に仕上がっていて良かったのかもしれない。
この作品の面白さは(ゼラズニイ作品の大半に言える事だが)キャラクターの会話や台詞回しにあると思える。

ラストシーンのどんでん返しも多層的な構造になっており、気が効いていた。
伏線もしっかり回収できていたし。
このあたりが読後感の良さに繋がったのだろうと思う。
ただその後のスナッフやジャック、グレイモークやジルの会話も聞いてみたかったような気がする。
ちょっと寂しかったが蛇足となったかも知れないかな。

少し気になったのは初版だからか誤植が多かった事。
あるいは校正が良くなかったのか?
スナッフの一人称は基本「私」で統一されているのに「俺」表記のところがあったり、グレイモークの名前が異なっていたり。
細かい点ではあるのだが。

読んでいる途中で「アーカムホラー」というボードゲームを思い出してしまった(笑)。
私は所有していないのだが、大学時代に友人が持っていたので何度かプレイした。
このことも書こうと思ったのだが、今日はこれにて。
後日にでもまた書く事にします。



↑Amazonリンク。

…表紙イラストが今時のアニメ漫画風でちょっと馴染めないかな。
シルクハットを被っているのがジャックだと思うが、もう少し落ち着いたイメージの紳士なんだが…。

英語版の表紙←リンク。

…右の犬(スナッフ?)の傍にいるのがジャックだと思うがこれはこれで…(汗)。

テーマ:ファンタジー小説 - ジャンル:小説・文学


ロジャー・ゼラズニイ「十二月の鍵」紹介・感想
先日紹介したロジャー・ゼラズニイ著「伝道の書に捧げる薔薇」(昭和51年初版 ハヤカワSF文庫 浅倉久志 嶺岸久訳)収録の「十二月の鍵」の紹介・感想。
異文明とのコンタクト?を描いた作品である。

ストーリー

ジャリー・ダークは父母とG.M.I社との契約により、人として生まれながら寒冷惑星アリヨーナルに適応するべく「猫形態(キャットフォーム)」に生体改造された。
しかし移住前にアリヨーナル星は超新星の影響で消滅。
彼は住むべき星を失ってしまった。
G.M.I社との契約により健康を損なう事のない生命維持環境と十分な教育を受ける事が出来たジャリーは投資の才能を発揮し、彼らアリヨーナル型キャットフォームに改造されたメンバー2万8千人によって構成される「十二月クラブ」の収入役として腕を揮っていた。
ジャリーの計画は第二のアリヨーナルを建設する事だった。
適当な惑星を買い取り、さらには惑星改造装置を設置すれば彼らキャットフォームは生命維持装置から解放され、不自由なく生活できる新天地を得る事が可能なのだ。
しかしクラブの総資産をつぎ込んでも惑星改造装置を20台購入するのが限界だった。
第二の故郷となるアリヨーナルⅡを彼らに適した環境に改造するには3000年かかる。
自らの生きるべき世界を実現するべく、彼らは人工冬眠することで3000年の惑星改造に挑む事にした。

アリヨーナルⅡでキャットフォーム達は交代で250年に一度、3ヶ月間の当直につく。
移住して250年後ジャリーは恋人サンザとともに施設管理と監視のため目覚めた。
アリヨーナルⅡは変化を遂げつつあった。
気温は低下し、植物の植生は変化している。
複数ある基地の中でもジャリー達にあてがわれた基地は「死の国(デッドランド)」と名付けられた生物の希薄な地域にあった。
それでも緑の小鳥や巨大な芋虫、その芋虫を補食する二足歩行生物らを目撃する事は出来た。
ある日ジャリーとサンザは基地のごく近くで行き倒れになる二足歩行生物を発見する。
彼らの看取る中、その生物は息絶えた。
サンザはこの世界に生き残るのは私達だけではないのか?と不安を抱く。
ジャリーは彼女に答える。
自分たちがたった20基の惑星改造装置しか購入出来なかったのはこの星の生物にとって幸運だったかもしれない、と。
適応するための十分な時間を彼らに与える事が出来る。
ジャリーは続けて語る。
「どんな変化でもつねにだれかが傷つく、という事実を受けいれなくちゃ。そうすれば、きみ自身が傷つかなくてすむ」

その250年後、ジャリーはサンザを目覚めさせなかった。
感傷的な彼女を気遣ってのことである。
アリヨーナルⅡはこの星の生物にとってますます厳しい世界となっていた。
芋虫たちはより毛深くなり適応しようとしている。

その500年後ジャリーは再び目覚めた。
移民して500年目の当直時、先に目覚めたサンザはジャリーが250年前に自分を目覚めさせなかった事に腹を立て、彼を再び眠らせたのだ。
しかし彼らにわだかまりはなかった。
彼らの罪には孤独という十分な罰が与えられていたから。

移住して1000年後の世界で彼らは奇妙なものを目撃する。
基地近くの雪の上に置かれたひからびた大芋虫の死骸。
その周囲には奇妙な線が描かれていた。


生前の契約により、そして不幸な事故のため自らの住むべき世界を失ってしまったジャリーが主人公。
ひたすら前向きに自らの、あるいは同じ境遇の下に生まれた同胞達のために新天地を獲得するべく奔走する。
3000年の時間という代償はあるもののやっと彼ら自身の世界を手に入れるところまでこぎつけた。
が、その新天地、移住先の惑星で彼らがなそうとしている事は、惑星の原住生物達からその世界を奪う事だった。
感傷的な恋人サンザに対して自らの正当性を訴えるジャリーだが、一つの事件をきっかけに彼の信条も変化する。

なかなか読み応えのある短編だった。
恋人同士であるジャリーとサンザの会話で主に物語が成り立っているのだが、二人が表向き異なった価値観を持ちつつも恋人として互いを必要としている点など興味深い。
というか当たり前か(笑)

実はジャリー自身も彼女同様の心痛を感じているのだが、それを認めるのを拒んでいるのだ。
↑で引用したジャリーの台詞には彼自身の強がりと彼女を思いやる心情を伺う事が出来る。
生前の契約により住むべき世界を奪われたジャリー達。
その彼らが今度は奪う側となり、それを容認しようとしている。
その矛盾に気付いていながらもジャリーはサンザにそれを認める事が出来ない。
サンザを慰めるために発した台詞だったのかもしれないが…

サンザの懸念はやがてより意外なかたちで彼らの前に現れる。
原住二足歩行生物たちは彼らキャットフォームを「神」として崇めているのだ。

その時ジャリーの取った行動とは??

ネタバレになってしまうのでここまでで^^
とても面白い作品だった。
この短編集には様々なテーマのゼラズニイ作品が収められている。
ご興味があれば是非^^

テーマ:SF小説 - ジャンル:小説・文学


ロジャー・ゼラズニイ「天国からのマナ」紹介・感想
ラリイ・ニーブン「ウォーロックシリーズ」の紹介・感想03の続き、というか番外編。

ウォーロックシリーズ世界を舞台としたアンソロジー、「魔法の国よ永遠なれ」(創元推理文庫 厚木淳訳)に収録されている短編の一つだ。
このアンソロのトリをつとめている作品でもあったりする。

以下ストーリー。

デイブは20世紀アメリカの博物館に勤務する職員。
そしてアトランティスの末裔であり魔術師でもあった。
とある事件をきっかけに仲間の魔術師達から姿を隠し、ひとり一般社会に紛れて生活していた。
デイブは執務中に電話を受けた。
電話主は名乗らないが「フェニックス」という彼の魔術師としての名前を知っていた。
かつての魔術師仲間に命を狙われていると感じたデイブは早退し、襲撃に備えるべくマナを備蓄した別荘に避難することにする。
が、街角で恋人エレインと偶然遭遇してしまう。


14000年前に滅んだと思われていた魔術師達。
が、ごく少数の者が現在でもその技術を伝承していた、という設定である。
魔術師の絶対数が少なく非公開の技術であるが故に、(全世界に対して)マナの消費もごく少量で済む事から彼らは盛時の魔術師達と同様に魔法を操る。
主人公デイブ(おそらく偽名だろう)ことフェニックスはユーモアのセンスがあり公平公正をモットーとする紳士だ。
魔法により不老、そして現代一般人には想像も出来ないような奇跡をおこす。
まさにゼラズニイ好みの超人^^
が、正直成功している作品ではないと思える。
あまり面白くないのだ(汗)

その理由はいくつか具体的に挙げる事が出来る。
マナと魔法に関する設定は基本ニーブン同様なのだが…
主人公はその魔術師名が示す通り、火山の溶岩からマナを収集している。
地上に新たにあふれ出すマグマには未使用のマナが大量に含まれている…というのは納得できる。
また他の魔術師は石油からマナを得ていたり、地下鉱山を利用したりもしている。
これ自体はよいのだが、それによって得られたマナにより行うデイブの魔術がいささか大げさな描写で描かれすぎているような気がする。
エレインをさらわれたデイブは冷静になるまでに地球を5周飛行したことになっていたりするのだが…
ニーブンの正編と比較して少々魔法の効果が派手になりすぎていないか?
14000年の間に魔法も技術進歩したのかもしれないが…
「魔法の国が消えていく」でマナ不足に苦しむウォーロック達一行の描写を思うとなんだかバランスが悪い。

またストーリー自体がなんというか…ものすごくミクロな次元で展開する。
よーするに魔術師同士の喧嘩でしかない。
権力争いと言えなくもないが、それにしては現代に生き残った魔術師達の詳細が明らかにされておらず不満が残る。

最後に、これが決定的なのだが一般人の描写が少なすぎる。
何故これが問題かというと、如何にデイブをはじめとする魔術師達の奇跡を描いても、一般人の視点がなければそれは奇跡でも何でもないからだ。
かろうじてエレインがその役をおっているわけだが、彼女はすぐに誘拐されてしまってその役を十分に担っていない。

以上のような事で非常にフラストレーションのたまる作品だった。
いっそエレイン視点で描けば良かったのかも知れないし、現代社会に張り巡らされた魔術師達の陰謀劇にしてもよかったよーな。
ページ数的に少々厳しいかも知れないが。

うーむ。
あまりお勧めはできない(笑)
が、同文庫の他作品には楽しめたものもあったり。
↓他作品も含めて、一応のAmazonリンク。

ガラスの短剣 (創元推理文庫 668-1)

魔法の国が消えていく (創元推理文庫 (668‐2))

魔法の国がよみがえる (創元推理文庫 (668‐5))

魔法の国よ永遠なれ (創元推理文庫)

テーマ:ファンタジー小説 - ジャンル:小説・文学


「ロジャー・ゼラズニイの著作」というカテゴリを新設した
以前からこのブログのカテゴリを整理しないと…と思っていたのだが、件数がほどほどに多いので躊躇していた。
今日カテゴリに「ロジャー・ゼラズニイの著作」を追加し、修正。
ニュース関係の記事も整理したいのだが…
ゼラズニイ関係、たった11件の記事だったのだが、案外大変だった。
カテゴリを作った以上は作品を紹介しないと(汗)

全ての記事のカテゴリを書き換えるのは結構大変だ…
バックアップを取ってテキストエディターで編集する方が楽かもしれないな…

余談だが母親が指を骨折した。
転倒して手をついた際小指を折ってしまったらしい。
土曜日で近くの病院は全てお休み。
結局休日診療の病院に。
と、以前足を骨折した時の個人病院の先生が担当だったそうだ(笑)

まー気をつけて欲しい。
若くはないんだから。
またしばらく調理と洗い物は私が全部しなければならないな(笑)
嫌いじゃないのでいいのだが。
と、いうか以前も書いたように私は料理は好きなのだが家では料理したくないのだった。
外野がごちゃごちゃ五月蠅いから…なのである><

テーマ:SF小説 - ジャンル:小説・文学


ロジャー・ゼラズニイ「真世界アンバー」シリーズ紹介・感想07
久しぶりにロジャー・ゼラズニイ「真世界アンバー」シリーズ紹介・感想06の続き。

実は今回も予定していたものではなく、番外編だ。

10月14日Amazonで「Roger Zelazny's Visual Guide to Castle Amber」(英語)という本を注文した。
中古、非常に良い状態で2014円。
アメリカからの発送である。
送料は250円。
船便かな?
Amazonから返信があり、到着日は11月2日とのことであったが、後日ショップからも連絡があり11月5日になる、とのこと。
発注後三週間、ということのようだ。
11月5日になっても商品は届かない。
遠方からの発送だし、急いだ品物でもなかったので問い合わせはしなかった。
11月10日過ぎても届かず、少し心配になり始めた頃、ちょうど一週間遅れの11月12日に届いた。

この本、文字通りアンバーシリーズに登場するアンバー城をビジュアル化することを目的としているようだ。
城のフロアプランや周辺の俯瞰図などもある。
アンバーTRPGをする時には必須かも^^
そのため、ってこともあったのだが、このシリーズを紹介した英語版ウィキペディアを読んでいたら、この本からの情報が結構多かったので気になった、ということもあった。
この本、ゼラズニイとネイル・ランデルとの共著となっており、小説本編で語られていない事に関しても、いわばゼラズニイ公式の設定が収録されているようなのだ。
アンバー城周辺の情報だけでなく、トランプやパターン、ログラス(ある意味、混沌のパターン)などの紹介もある。
トランプも図案化されている。
つまりこの本ではゼラズニイ公式のアンバー王家キャラクター達を見る事が出来るのである!

という訳で購入してみたのだった。
まだ全ては読んでいないし、全て読むつもりもない。
以前も書いたようにアンバーシリーズの後半を読んでいないので、ネタバレになるような部分を読みたくないのだ。
とはいえアンバー家の家系図とかが目に入ってしまい、余分な情報を見てしまったが><

冒頭にランデルの序文がある。
どうやらアンバーシリーズ8巻の「Sign of Chaos」が書かれた直後にゼラズニイにインタビューして作成されたようだ。
本文の最初のページは、オベロンの後継者である新王の命令で客人達にアンバーを案内するように仰せつかったアンバーの王女の述懐から始まる。
実はこれ、フローラであったりする。
作者達が何故この役にフローラを選んだかは容易に想像出来る。
彼女は影の地球で長らく過ごしており、地球の文化や歴史にも精通しているからであろう。
城周辺の地勢の解説の後、アンバー場内の主な部屋や施設、庭園の解説などが続く。
ピカソやモネの絵が飾ってあるとか、書斎には地球の著名な作家(名前も挙がっている、シェークスピアは全巻揃っているようだ)の本があるとか、このような解説が可能なのはフローラとコーウィンだけだ。
庭園の一角にはベネディクトが日本庭園を造っているらしい(笑)

気になっていたのはトランプの肖像であった。
これこそゼラズニイ公式のアンバー王家の面々…であるはずだ。



下手な画家さんではないと思うのだが…
少しディフォルメが過ぎているのでは?と思えるイラストも多い。
トランプはもっと写実的に描かれているのではないか?と私は思っていたのだが…

ここで二枚だけ紹介させて貰う事にした(↓クリックで大きく表示されます)

コーウィン↓。

アンバーのコーウィン

フィオナ↓。

アンバーのフィオナ

コーウィン…
お、おっさん!
欧米人と日本人との美意識の違い、というのはあると思うのだが…
まぁ、しかし私の基準でもハンサムに描かれているし、それなりではある。
フィオナ…
ジュリアンの弁によれば「王女の中で一番綺麗だ」とのこと。
確かにこの本の中でも一番美人に描かれているような気がする。
が。
…頭平べったくない?
他の登場人物に関してもディフォルメされているものがあり(デアドリなど)どうも偶然こうなったわけではなく、作者は意図してこのように描いているようだ。
その他男性登場人物ではブレイズがひどく歳とって見える。
壮年、というより初老に近いイメージ。
ブレイズって私の印象ではコーウィンより若々しいイメージなんだがなぁ。

全編読み通す前にアンバーシリーズを全巻読まねばならないな・・・



Roger Zelazny's Visual Guide to Castle Amber

テーマ:SF小説 - ジャンル:小説・文学